■ エンドリケリーを知る!
昨今、エンドリケリーには、各方面で様々な呼び方・販売名が付き、
「それぞれ何がどう違うのか?」と混乱する方も多いかと思います。
基本的に、エンドリケリーは大きくつ二つに分類することができます。
一つは、ワイルド個体(現地採集個体)と、ブリード個体(人が繁殖
させた個体)です。
どちらに優劣があるということではなく、それぞれから違った魅力を
味わうことができます。


野性的な魅力とフォルム等を楽しむならば、ワイルドエンドリケリーを、
バンドの派手さ、美しさを楽しむならば、ブリードエンドリケリーを
お勧めします。

同じエンドリケリーでも、それぞれに突出した長所が幾つもあり、
そのバリエーションの豊富さは、マニアを魅了して止まないのです。





ワイルドエンドリケリーの真髄と見解










どこまで信用性が高いかわかりませんが、産地別に輸入されます。

● ナイジェリア産:ナイジェリア便で輸入された個体。
● チャド産:チャド湖で採集されたと言われる個体。
  (幻のエンドリとして有名ですが、真意は疑問のところがあります。)
● ニジェール産:ニジェール川で採集された個体、もしくはニジェール
  共和国で採集された個体。
他、ギニア産、ガーナ産など、採集するエリアの名前が付いたロットが
確認されており、それぞれに地域差が見られます。

個体差別に見ると、赤っぽい個体から、茶色、灰色、たまに黒っぽい
個体まで、その差は豊富であり、稀に緑色を発色するものや、胸鰭が
黄緑色に変色する個体も存在します。
「綺麗さ」という部分に関しては、ブリードエンドリケリーの方が勝ると
思いますが、ワイルドエンドリケリーからは、やはり野性的な「豪快さ」
と言ったものを十分に味わうことができるのです。
更に、ワイルドエンドリケリーの面白いところは、「未知数の可能性」を
大いに秘めているところです。
それは、大自然が生み出した産物であるから成せる業なのであり、

突如、今まで見たことがない迫力あるBIG個体や、謎めいた地域変種
等、変わったタイプが入荷する可能性が極めて高いのです!

数年前より、ラプラディとエンドリケリーとのハイブリットとも思われる
個体群が、ギニア便で入荷しています。
以前とは採集エリアが変わってきているのか、様々なインボイス名で、
不思議な個体群の入荷が多くなってきました。

「今までに見たことがないエンドリケリーに出会える・・・。」
これは、ワイルドならではの魅力の一つと言えるでしょう!

ワイルド個体の部位に拘った場合、その魅力は2つあります。
先ず1つ目は、その野蛮な「顔つき」にあります。
多くのマニアさんが「顔」にハマると、より「ワイルドさ」を象徴する顔を
求め続けるのです。
ワイルドらしい顔とは一体、どのようなものか???
人それぞれ趣味趣向が違いますが、ワイルド愛好家の間では、
「扁平」・「反り上り」・「下顎の突き出し具合」等を重視して
個体を収集するマニアさんが多いです。
私もそのうちの一人ですが、この顔の扁平さが、エンドリケリーの顔を
爬虫類チックにさせ、よりイカツさを倍増させるものと感じています。
また、更にそのイカツさを追求し、目玉が小さい個体を好み収集される
マニアさんもよく見受けられます。

ワイルドにハマって、顔に拘りを持つのではなく、顔に拘りを持つように
なったが故にワイルドにハマる!!・・・というのが正しいワイルドへの
ハマり方だと思います。
更にバンドがしっかりした個体であれば、言う事なし!の個体となる
でしょう。

もう一つの魅力的なポイントは、そのフォルムにあります。
上記で述べたような「扁平」な顔・頭部により、肩口からの盛り上がりが
より一層強調され、全体的に素晴らしいフォルムを生み出すのです。
野性的なフォルムを持ったワイルドエンドリケリーは、時間をかけて
丹念に飼い込むことにより、言葉では言い表せないような独特の
雰囲気、強烈なオーラを放つのです!

一つ、注意点を上げるならば、入荷直後の個体は、慎重に取り扱って
下さい。中には、入荷後落ちやすい(死にやすい)個体がいます。
その理由は、魚の輸送手段が大きな原因として上げられます。
現地(アフリカ)から日本への輸送状態は完璧なものではなく、
かなりひどい状態だと聞いたことがあります。
梱包のいい加減さ、輸送時の水の量・酸素の量等があまりにも
不完全な場合が多く、死着で日本に届く個体も多いようです。
(日本から、輸送用として上質のしっかりしたビニール袋を現地に
送っても、アフリアの現地の人は、自分の生活用として使ってしまい、
いつもの粗悪な梱包で送られてくるそうです。)
その中から、何とか生き延びたとして、そこから更に体調を崩して
持ち直す個体は、全体の中から更に絞り込まれることになります。
結果、強い魚でないと生き延びることはできないという過酷な状況で
あるということです。
体調を崩してしまった個体で、いくら凄腕のマニアさんが治療・看病
したとしても、生命力が乏しい個体であれば、魚を死なせてしまう
場合もあります。要するに「逝ってしまう個体は、何をやっても逝って
しまう・・・」という事なのです。
過酷な長旅を経て、生き延びた個体は、生命力が強く、日本での飼育
環境下にも順応できるのです。

入荷直後、すぐにショップから購入した場合は、個体が落ち着くまで
十分に観察すべきでしょう。特に粘膜の剥がれは要注意です。
何故か分かりませんが、自分が探し求めていた素晴らしく思える個体
に限って落ちてしまうというジンクスがあります。(汗)



ブリードエンドリケリーの真髄と見解
ブリードエンドリケリーには以下の3タイプに分けられます。

●ブランド化されたエンドリケリー。
●主にマニアが繁殖させ、「国産」表記で販売されているもの。
●海外(特に東南アジア)で繁殖したもの。


ブリードエンドリケリーにおける飼育の醍醐味は、
稚魚期から手塩にかけて育て上げることができるということでしょう。
稚魚からの飼育ですと、「外鰓(がいさい)」を見ることができます。
この外鰓を見て、エンドリケリー(ポリプテルス)の飼育を始められた
方も多いと聞きます。そして、外鰓が消滅し、40cmあたりから稀に
大化けする個体も出てくることから、自分なりに成魚をイメージしながら、
購入・飼育するといった楽しみも味わえます。


ブリードエンドリケリーの最大の魅力は、何と言っても「バンド」です!
頭部の扁平さをブリードで語るようなヤボな事を言ってはいけません。
頭部の扁平さに関しては、圧倒的にワイルドの方が勝るからです。
しかし、バンドに関しては、ブリードの方が、太さやバリエーションの
豊富さで圧倒的にワイルドより勝る事になります。
バンドの形状パターンについても、縦方向に入るノーマルなものに加え
イレギュラーに乱れたり、横に入ったり、十字を斬ったり、・・・と、
その形状は様々であり、この豊富なバンドのパターンに魅了され、
エンドリケリーを収集するマニアの方も多いのです。
バンドのパターンについては、掛け合わせる親の影響を多大に受ける
傾向があります。
様々なブランドのエンドリケリーが市場に出回っていますが、ブランドに
ついては、人それぞれが持つ価値観・好みの問題になります。
個人的には、昔程、ブランド毎の差というものは、あまり感じられなく
なったような気がします。ブランドの差と言うより、その親の組み合わせ
によった「ロット毎の差」と言った方が良いのではないでしょうか?
ブランドものは、バンドの入り方を念頭においてブリーディングをされて
いることから、非常に変わったバンドパターンを持った綺麗なエンドリケ
リーが数多く産出されています。
顔つきは、ワイルドと比較して、丸めで可愛いタイプのものが多く、
F2個体(ブリード個体の子)になると、更に丸くなる傾向にあります。

可愛い感じのエンドリケリーがお好きな方には、ブリードエンドリケリー
はお勧めとなります。


比較的ブランドものには、美しいタイプのものが多いような気がします。
最近は、バンドのみならず、腹裏に模様があるかどうか、俗に言う
「腹巻・腹ゴマ」という個体に拘る方が非常に多くなりました。
しかし、必ずしも「腹裏に模様がある=素晴らしい個体」ではありません
ので、ご自身が気に入った個体に、「プラスα」として腹裏に模様がある
か否かという点で、付加価値的に見られる方が良いと思います。

稀に体色が白変化した個体もブリードの中から出てきます。
1ロットに1匹〜2匹、取れるか取れないか?の割合で発生する希少な
「白変」と呼ばれる個体は、昔から高値で取引されています。
また、俗に「ショート」と呼ばれる丈が短い個体も、同じように高値で
取引されています。全長が短い分、肩口から背中にかけて盛り上がり
を見せるため、人気が高いようです。
しかし、ショート個体は、正確に言えば奇形個体であり、短いがために
鱗(ガノイン)がかなり乱れている個体が殆どです。
その辺を踏まえて、気にならない方は、購入を検討される方が良いと
思います。

また、産地うんぬんの表記は、ブリードエンドリケリーを購入される際は
あまり気にしない方が良いでしょう。
個人的な感想ですが、国内でブリードされたエンドリケリーが、
「チャド産」・「ニジェール産」という表記であるということは、全く意味が
異なり、ナンセンスであるという事、また「チャド」という言葉だけが
完全に独り歩きしており、その産地名が持つ意味はもはや失っている
からです。

以前に比べて、ブリードエンドリケリーは、そのブランド数、個体数が
かなりの量で急増してきました。
バンドを中心として年々グレードは高くなり、綺麗な個体も増えてきた
のも事実です。
しかし、その反面、販売名や呼び方などに統一感が無く、見た目とは
裏腹に、一部の供給者側からの「いかにインパクトが強く、売れるような
販売名であるか?」という部分だけが目立つようになりました。
そのような状況下の中、飼育者・購入者サイドからは、
「何が良いのか?」が益々分からなくなってしまった事も事実です。
表記などに迷わされること無く、自分が気に入ったエンドリケリーの
購入をお勧めします。
結局のところ、「何が良いのか?」ではなく、「自分の目で見て、
気に入った個体が良い個体だ!」・・・ということなのです。














個体収集にあたっての確認事項










特に「極意」という程ではありませんが、エンドリケリーを購入される際、
先ず最初に確認する基本的な注意点を以下でまとめてみました。

T.自分の飼育設備に合わせ魚を購入する。

当たり前ですが、これは最も重要な事になります。
エンドリケリーは、大型のポリプテルスであるという事をご認識下さい。

人それぞれ用意できる設備は違えども、最終的に60cm水槽しか設置
できない状況であっては、エンドリケリーを飼いきる事は不可能です。

お店で売っているエンドリケリーの稚魚を、「可愛い!」・「カッコイイ!」
と言って購入しても、最終的に奥行きが60cm以上の水槽を用意する
事ができなければ、可愛かった稚魚をゆくゆく可哀想な目にあわせて
しまいます。

大型のポリプテルスであるエンドリケリーの魅力を最大限に引き出す
には、この設備環境にかかっていると言っても過言ではないでしょう。
また、BIGサイズのエンドリケリーの飼育では、稚魚期で味わう事が
できなかった別の魅力を、きっと堪能できる筈です!
40cm、50cm、60cmと成長するにつれ、エンドリケリーは全く別の
顔を見せます。
それ故に、本種の魅力を引き出す設備環境は必須となるのです。



U.
購入する魚が奇形でないかをチェックをする。


先ずは目が潰れていないか確認します。白濁程度ならば、治る可能性
はありますが、潰れてしまった目は再生しません。
次に、各鰭に損傷はないか確認します。背びれの膜の部分が破れて
いるものは殆ど治りますが、根元から折れている場合、完治の有無は
一概には断言できません。その状態・個体差により復活する場合も
あります。また、左右の鰭が均等の大きさかどうかもチェックしてみて
下さい。極端に片方だけが小さい場合は、購入を避けたほうが無難
でしょう。
体が曲がっていないかどうかもチェックした方が良いです。
横に曲がっているものは言うまでもありませんが、縦に曲がっている
場合もあります。「背中から盛り上がってカッコイイ!」と思っていても、
実際は背骨が曲がっているだけという事もありますので、ご注意下さい。
最後に体の凹み、鱗(ガノイン)の乱れをチェックします。

体が凹んだものや、鱗が異様に乱れている個体を見かけますが、
これらは、生まれつきが殆どである為、完治することは難しいと思われ
ます。ブリードもので、稚魚期の場合、最初目立たなく、後に凹みが
大きくなるケースも稀に見られますのでご注意下さい。



V.いつ頃入荷したものなのか?を確認する。

ブリード個体の稚魚であれば、いつ頃入荷したものか?を
ショップの店員に聞いてみて下さい。

稚魚期において、餌がまともに与えられなかった場合、後々の成長に
大きく影響することがあります。

エンドリケリーの稚魚(ブリード)を例にあげると、半年以上20cm前半
であれば、購入してもあまり大きく成長しないことが想定されます。
ショップで適正に餌が与えられているかどうかを見極める際には、

個体の目を見て下さい。目が異様に飛び出て、痩せこけたイメージの
個体は、購入を避けた方が無難です。

稚魚を購入する場合は、入荷してからあまり日が経っていない個体
(ロット)をお勧めします。

ワイルド個体である程度のサイズの場合は、逆に、入荷してから日が経っている程、安心となります。
入荷したてであれば、寄生虫の問題も殆どクリアになっていることも
考えられ、状態も落ち着いていることから、自分の水槽に入れても
問題が発生する確率は少ないと言えます。



W.どのような拘りをもつか!?を明確にする。

ポリプテルスは長生きする魚です。
個体の健康状態にもよりますが、普通に飼育していれば、10〜20年
以上の付き合いになります。
ポリプテルスを購入する際、自分はどのように拘るか?という点を
明確に持つことが、購入する際に迷わない秘訣に繋がるかと思います。
サイズに拘るのか・・・? 色に拘るのか・・・? 柄に拘るのか・・・?
体型に拘るのか・・・? 顔つきに拘るのか・・・? と、
人によって様々な拘り方があると思います。

この拘り方により、エンドリケリーの飼育がより一層楽しいものに
なるのです!




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